探偵事務所のカウンセラーとは探偵事務所の営業社員のこと
こんにちは。管理人のエスポワールです。今回は大手探偵事務所のカウンセラーついて解説します。
まず、探偵事務所という会社は組織を分類すると、調査部門と営業部門で構成されます。その営業部門の構成員がカウンセラーです。つまり、ただの営業社員です。他業種の営業職で例えると、生命保険業界における「ライフプランナー」とか、証券業界における「資産運用アドバイザー」とか、人材派遣業界における「キャリアコンサルタント」のようなものです。当然、営業社員ですからノルマや目標がありますし、契約件数や契約金額に応じてインセンティブも支払われています。
探偵事務所がカウンセラーという名称を使う理由は、依頼者がカウンセラーという肩書きを持つ人に相談をする時に安心感や信頼性を感じるからだと思います。また、少し前までは「相談員」という名称も使われましたが、最近はあまり見なくなりました。もちろん、やっていることはカウンセラーと同じです。
ただ、本当の意味でのカウンセラーとは依頼者との間に第三者性や外部性が担保されなければなりません。つまり、カウンセラーのアドバイスに従うことによってカウンセラーの所属する会社の売上が計上されたり、カウンセラーの翌月の給料が上乗せされるような仕組みではだめなのです。そういう意味では探偵事務所はカウンセラーという言葉を安易に使用しているとも言えます。
また、カウンセラーは主に女性が担当しますが、稀に男性が担当することもあります。ただ、男性が営業窓口となった場合、その男性は事務所の社長や代表の可能性が高いです。非常にデリケートな相談事をする際、男性よりも女性の方がよいかもしれませんが、私は組織で大きな裁量権のある人物と交渉や相談ができた方が圧倒的によいと考えます。
それでは、依頼者は探偵事務所のカウンセラーこと営業担当者とどのように接していくべきでしょうか。多少癖のある探偵事務所の営業社員との付き合い方、警戒すべきポイントを紹介します。
契約を急がせるカウンセラーには要注意
依頼者が警戒すべき一つ目は契約を急がせるカウンセラーです。
調査を検討する依頼者にとっての探偵事務所との最初の接点はフリーダイヤルに電話をして簡単な事情を説明することから始まります。この時、電話で事情を説明した相手がカウンセラーです。電話を受けたカウンセラーは最初から具体的な調査の話をする訳ではなく「聞き役に徹する」という姿勢で相談者と接します。しかし、面談の日程を決めるころにはもうすでに契約金額が頭の中にチラついています。本来、探偵事務所の営業は「事務所に電話くるのを待つ」という受け身の営業なので、探偵事務所からすると電話がかかってきた時点で電話の相手はエサに食いついた魚のようなものです。ですから、「聞き役に徹する」という姿勢を態度に出しつつ、心の中では「電話をしてきたという熱が冷めないうちに契約させたい」と考えているのです。
ただ、浮気を放置すればだんだんエスカレートしていきますから、間違いなく証拠が取れるのならば早く調査した方がよいということも事実です。ですから、依頼者の話に耳を傾けながら励ましつつも不安を煽り、契約に持っていくというのがカウンセラーの得意技です。
ですから、契約金額の見積もりが出た段階ですぐにサインするのではなく、他社と比較するために一度自宅に持ち帰って冷静になることを勧めます。
都合の悪いことを言わないカウンセラーには要注意
警戒すべき二つ目は都合の悪いことを言わないカウンセラーです。具体的には調査が失敗するリスクや可能性を説明しないカウンセラーです。
依頼者にとって大事なことは結局、「調査が成功するかどうか」です。私が見てきた限りでは「調査が成功するならば、多少は調査費用がかかってもよい」と考える依頼者が多いように感じます。
それなのに調査が失敗する可能性に話が及ぶと「弊社の調査員は探偵学校出身だから大丈夫です」とか「経験豊富で警察OBも在籍しているから安心してください」のようにとんでもないことを言い出すカウンセラーがいるのです。
私は探偵学校出身ですが失敗経験の豊富な探偵です。そして、調査が失敗する時は調査員の力量不足だけが原因ではありません。調査対象者の警戒度合いや周辺環境、事前に与えられた情報の少なさなどの複数の要因によって調査は失敗します。そして、そのことをカウンセラーも理解しています。
そして、探偵学校を出ただけでは優秀な探偵とは言えませんし、優秀な探偵でなくても調査が成功することも多いです。つまり、自動車学校を卒業したからといって運転のスキルが高いわけではないのと同じです。そして、多少運転のスキルが低くても事故を起こさないで目的地に到着すれば良いのです。
ですから、商談の際に「調査が失敗する可能性は一般的にはどの程度ですか?」とか「調査が失敗した場合は費用は返金になりますか?」のような質問はあえてしないで、カウンセラーの方から話を切り出すことをひたすら待つという姿勢もありだと思います。そして、そのことに触れずに契約をまとめようとするならば、礼儀正しくその探偵事務所との契約をお断りしたほうがよいでしょう。
結局、依頼者にとってカウンセラーは必要か
私はここまでカウンセラーの存在について少しネガティブなことを書いてきましたが、それでもやはりカウンセラーのような「プライベートな悩みを相談できる存在」は大きいと思います。つまり、依頼者側の付き合い方次第で心強い味方になると考えます。
また、調査の案件をそれなりに抱えている探偵事務所であれば、現場に出る探偵が営業社員と兼務することは不可能ですから、「カウンセラーがいる探偵事務所=多くの案件を抱える事務所=現場に出る探偵の経験値が豊富な探偵事務所」のようなことが成立しているともいえます。そして、警戒すべきカウンセラーに関しても依頼者が「カウンセラーも契約を取る為に必死なのだな」と思うだけで十分予防できます。つまり、依頼者が「このカウンセラーは優しくて親切だけど、少し怪しい」くらいの先入観をもって対話することで、結果的には冷静な話し合いや商談ができると思うのです。
また、私も探偵事務所以外の会社で約10年程営業の仕事をしているので、ノルマや数字に縛られる辛さもよく分かります。ですから、「契約を急がせる」「都合の悪いことを言わない」以外のカウンセラーの契約を取る為のパフォーマンスにはあまりケチをつけませんし、そのあたりの事情を依頼を検討している方にも少しばかり理解をお願いしたいとも思うのです。