駅弁は催事では大盛況でも現地では売れていない現実

郷土色溢れる駅弁は日本独特のもの

こんにちは。管理人のエスポワールです。今回は駅弁についてまとめます。

以前、ヨーロッパを1カ月間鉄道旅行をしたことがあるのですが、そこで感じた日本との大きな違いの一つが駅弁の存在でした。

もちろん、ヨーロッパだけでなく中国やインドでも駅にキヨスクのような簡易的な売店があり、そこで販売されているパンやサンドイッチはあります。また、寝台車に乗った際、座席の棚にミネラルウォーターが備え付けられていたこともありました。

しかし、ヨーロッパの主要な駅でもその土地の名産品を盛り込んだ、ランチボックスのようなお弁当はありませんでした。郷土色溢れる駅弁は日本独特のものです。

京王百貨店の元祖有名駅弁と全国うまいもの大会へ行く

こちらは日本で最も駅弁が宣伝される、京王百貨店の催事イベント、「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」です。最近は「駅弁甲子園」とも称される新春恒例のこちらのイベントは2019年には59回目の開催を迎えました。

イベントでは300種類もの駅弁が販売されますが、実演販売される駅弁と各地から飛行機やトラックで届けられた「輸送駅弁」があります。輸送駅弁に関しては訪問時間帯によっては品切れしている場合も多く、必ず食べたい駅弁があれば開店と同時にイベント会場へ向かうか、売り切れを想定して第2希望・第3希望の駅弁を決めていくとよいと思います。

当日は最初に総合案内所で折込チラシをもらい、売り切れ駅弁リストを確認しつつ会場全体を散策すればよいと思います。会場自体はそれほど広くはありません。

東日本と西日本の超有名駅弁を購入する

当日は全国の駅弁を買い求める客であふれていましたが、そのなかから2点ほど購入したので紹介します。東日本と西日本からそれぞれイカとタコが主役となる超有名駅弁です。

こちらは日本で最も有名な駅弁の一つといってもいい「いかめし(森駅)」です。

小箱にゴロリと転がる3個のいかめしのみというシンプルな構成です。レトロなデザインからいかめしの伝統や歴史が感じられます。使用しているイカは皮や軟骨が丁寧に処理されています。イカや中身のもち米に弾力を感じるものの、イカの筋肉の向きに沿って食べれば、イカが噛み切れないようなことはありません。

ちなみに、イカは種類によって筋肉の繊維の向きが異なります。

こちらは「ひっぱりだこ飯(西明石駅)」です。タコつぼを模した陶器が特徴で、旅行の思い出として残せます。売り場においてある断面図が分かりやすいです。

ご飯の中心部にあるのはタコの天ぷらです。味付けご飯が非常においしく、タコ足の外見が意外と貧弱だったけれど味は濃厚でした。

ただ、実際に陶器のタコつぼで捕獲したタコを使用しているかどうかは疑問です。網や四角い木箱、プラスチック製のつぼで漁をするのが多いと思われます。以上が簡単な駅弁の感想です。

しかし、駅弁評として決定的に欠けている要素があるのです。それは、駅弁を車内で、あるいは現地で食べていないという点です。現地で食べた駅弁と自宅で食べた駅弁はスポーツイベントの現地観戦とテレビ観戦と同じくらい別物だと思います。

日本で最初の駅弁の復刻版が宇都宮駅で受注販売している現実に見る駅弁の厳しい状況

1885年7月6日に宇都宮駅が開業しました。その際、構内でおにぎり2個とタクアンが竹皮に包まれ販売されました。それが日本の駅弁の始まりといわれています。値段は5銭。当時の駅弁は飛ぶように売れたそうです。

そんな日本最初の駅弁をできるだけ忠実に再現したのが「汽車弁当(宇都宮駅)」です。おにぎり2個と簡素なおかずの構成は、ご当地の名産品を盛り込んだ近年の駅弁とは明らかに異なります。

こちらの汽車弁当は値段は800円です。駅弁の製造メーカーの松廼家のウェブサイトには明記されていないのですが、実は受注生産です。事前に電話で連絡し、引取り日時を申告の上で宇都宮駅の販売店で受け取ります。

一般的に駅弁は現地の食材を使うことが多く、非加熱のおかずがメインであれば賞味期限も短く、廃棄率も高い商品です。つまり、駅弁は大量生産するコンビニ弁当・コンビニおにぎりと比較した場合、どうしても価格面で対抗できないのです。ですから、百貨店の催事では大盛況でも超有名な駅弁でもない限り、現地では駅弁はなかなか売れないのです。

宇都宮駅の汽車弁当は日本最初の駅弁という圧倒的なブランド力があります。しかし、おにぎり2個と簡単なおかずのみという簡素なお弁当にもかかわらず、800円という値段で販売し、受注生産しているという状況に駅弁業界の厳しい状況が見えてしまいます。

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