探偵になりたい人のための「探偵学校の存在意義」

私は探偵学校に2度も入学している

こんにちは。管理人のエスポワールです。今回は探偵学校がテーマです。

探偵学校という大変珍しい学校がなぜ存在しているのかを解説します。実は私は探偵学校に2度も入学したことがあり、さらには講師のアシスタントとして学校の授業に参加したこともあります。探偵として、元生徒として、元探偵学校アシスタントとして、探偵学校について思うところをまとめます。

探偵学校が存在する理由は3つ

探偵学校が存在する理由は3点あります。

  1. 高額な入学金が探偵事務所の利益になるから
  2. 探偵学校での評価が入社試験を兼ねているから
  3. 「探偵学校卒業生」という肩書きを自社の探偵が優秀であることの根拠にしているから

これらの3点について下記にまとめたいと思います。

探偵学校の高額な入学金はほぼ探偵事務所の利益になる

最初に、探偵学校の高額な入学金に関して解説します。

全ての探偵学校は探偵事務所が運営しています。つまり、探偵事務所にとって探偵学校の運営は副業のような扱いになります。探偵学校では探偵が普段行う尾行や張り込みに加え、探偵業法等の法律関連の座学や報告書の作成まで教えています。受講期間はおよそ1週間から10日前後で、費用は25-30万円(税別)となり、非常に高額です。

そして、入学金は浮気調査と違って失敗のリスクや契約トラブルもありません。さらに、講師は時間のある探偵事務所の代表や役職者が務め、テキスト代もほとんどお金がかかっていません。つまり、探偵学校運営は探偵事務所にとって多くの利益が残る事業なのです。

しかし、問題は探偵学校に入学を希望する人がほとんどいないことです。ですから、探偵事務所に勤務する探偵も普段は学校の存在を忘れています。授業はマンツーマンで行いますが、英会話教室のように講師が生徒に対して丁寧に教えるというのがその目的ではありません。単に他に生徒がいないだけです。

探偵学校は就職試験としての役割を持つ

次に探偵学校の就職試験としての側面を解説します。

探偵学校での生徒の評価は、この生徒を探偵にしても大丈夫なのかというテストの意味合いもあります。優秀だと判断されれば、卒業後に探偵事務所への就職を打診されますが、優秀でないと判断された場合は特に何もありません。

私の場合、優秀な人物とみなされなかったので、卒業後に探偵学校を運営する探偵事務所への就職はできませんでした。正直、探偵学校で勉強した中身などを考慮しても、就職できずに25-30万の出費は非常に痛手でした。

就職試験を受けるためだけに高額な出費が必要となる場合がある

これは探偵業界の悪しき習慣ですが、本人が了承している以上、なくなることはないでしょう。

結局、私は別の探偵事務所に就職するのですが、ここでは正式に入社した後に探偵学校へ再び入学します。二度目の探偵学校への入学は入学金が無償で、入社が確約されている分、気負わず授業に集中しました。探偵学校での成績は優秀だったのかどうかは分かりませんが、3か月の研修期間の後、無事に正社員になれたのでした。

「探偵学校卒業生」という肩書きを自社の探偵の優秀さのアピールにしている

最後に自社の探偵の能力に箔をつける役割として探偵学校が機能している点を解説します。

探偵に箔をつける役割というのは、「自社の探偵は全員探偵学校の卒業生だから優秀です!」という宣伝PRの為に探偵学校が存在しているという意味です。

これは探偵学校の大きな問題点だと思います。本来、探偵事務所の探偵が優秀かどうかなんて、依頼者や外部の人間には分かりようがありません。それなのに、「探偵学校の卒業生だから優秀です!」というようなことを探偵学校の実態を知らない依頼者に向けてアピールしているのです。

もちろん、探偵学校を卒業しただけで優秀な探偵としてのスキルが本当に身に着くというのであればまだ説得力があります。しかし、探偵学校で得られる経験や知識のボリュームは、実際の現場に出て経験したり学んだりすることと比べればほんのわずかです。この点は現場の探偵も理解しています。

このような状況を分かりやすい別の学校に例えるならば、「私は自動車学校を卒業したから車の運転が上手いんだ!」と言っているようなものなのです。結局、「探偵学校の卒業生だから優秀です!」というアピールは、依頼者だけでなく身内にもバレバレの嘘をついているのです。

依頼者は高い調査力、失敗しない調査力を期待して探偵事務所を選びます。反面、調査力の高さを示す指標が無いということも事実で、その点が探偵事務所選びを難しくしています。だから、このような大事なところを「探偵学校の卒業生だから優秀です!」という誇大広告や嘘でごまかすべきではありません。

そして、仮に能力が低い探偵が現場に入っても、低い能力をカバーできる大事なことが他にもあるということを探偵事務所は依頼者に伝えるべきです。

探偵学校の具体的な授業内容や、卒業生と探偵事務所のリクルートに関してはまた別の機会にまとめたいと思います。

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