水産物をスーパーに納品していた営業職時代の思い出
こんにちは。管理人のエスポワールです。今回は東京海洋大学の学園祭を紹介します。目的はさかなクンのステージショーでした。
私が以前、水産物をスーパーに納品する仕事をしていた頃、生活情報番組を中心としたテレビ番組をよく視聴していました。生活情報番組での水産物の特集は知識の獲得が目的というよりも、特集された食材の売り上げが予測を上回る実績を残す傾向にある為に注目していました。当時、そのようなテレビ番組にはさかなクンがよく出演していました。
ところで「魚」をテーマに何かを話す時、そのアプローチは4つに分類されると思います。
- 魚を「釣る・獲る」視点からのアプローチ
- 魚を「売る」視点からのアプローチ
- 魚を「料理する」視点からのアプローチ
- 魚の「生物学的な分析」からのアプローチ
の4点です。
私の場合は仕事での経験から2番が得意です。1番・3番・4番の切り口の話はあまり得意ではありません。さかなクンの場合、その話の切り口は全方位においてハイレベルなのですが、その中でも特に4番は突出していると感じます。魚の生態を擬人化して分かりやすく説明したり、親しみやすいイラストを駆使したプレゼンが出来るのはさかなクンだけです。
そんなさかなクンを生で見たいと思い、東京海洋大学の学園祭にゲスト出演するさかなクンを見に行きました。
東京海洋大学学園祭の屋台を楽しむ
東京海洋大学は品川駅港南口より徒歩10分の距離にあります。駅周辺の高層ビルの面影はなくなっています。
ステージイベントが始まるまで学園祭らしく屋台で食事をします。それぞれ味は悪くないのですが、値段が物凄く安いわけではありません。
さかなクンが登場してステージが始まる
そして、ついにさかなクンのステージイベントが始まります。
異様に高いテンションはテレビと同様です。もちろんステージは満員です。
そのイベントの内容は、観客から好きな魚の名前を挙げてもらい、その魚をテーマにさかなクンがイラストを即興で模造紙に書きながらその魅力を語り尽くすというものでした。そして、出来上がったイラストは好きな魚の名前を挙げた観客にプレゼントされるという企画でした。
ただ、このような即興イベントは非常にリスキーなのです。観客がほとんど誰も知らないような魚の名前を言った場合、さかなクンが事前に話す内容を準備したり整理する時間がないために、イベントが成り立たないからです。しかし、私の心配をよそにさかなクンがステージで指名した観客は小さな子供ばかりで、「マグロ」のような誰もが知る大衆魚が挙がったのです。
ところが事件は起きてしまいます。さかなクンから指名されたある子供は何と「ヨロイザメ」という私もあまり聞いたことがないサメの名前を言ってしまったのです。その時、さかなクンの一瞬動揺した様子を見逃しませんでした。イラストを描く手も止まってしまうかのように見えて、観客も一瞬ざわついたよう感じました。
しかし、ここからさかなクンの逆襲が始まるのです。「いやーなんだかマニアックな魚の名前が出ちゃいましたねー。ただ、魚の世界にマニアックもメジャーもないんですけどねー」とか、「それにしても、泳いでいる姿を見たことがない魚の絵を描くのは本当に難しいんですよねー」とか言いながらも、ヨロイザメの目の特徴や皮の特徴、名前の由来や絶滅危惧種であることなど、さかなクンのハイテンションマシンガントークは止まらなかったのです。
イラストを描きながらのさかなクンのプレゼンテーションはまるでマジシャンのパフォーマンスのようでした。テレビ番組のように事前に話す内容が決められた台本がなくてもさかなクンの圧倒的な知識は健在でした。
そして最後ハプニングがおきました。さかなクンはイラストを描く手を止めて運営スタッフを呼んで、このように言うのです。
「お客さんには大変申し訳ないのだけれど、しっぽに近い背びれのうち、特に尖った部分や長い部分がないかどうか確認したいからタブレットで画像を出してほしい」
と言って、イベントの進行を止めたのです。スタッフのタブレットに出したヨロイザメの画像を確認するさかなクンの顔は真剣でした。
本来、さかなクンの描く魚のイラストは目の大きさや顔の大きさなどデフォルメされているのが明らかだし、しっぽに近い一部分の背びれの特徴など、ステージの進行を止めてまで正確に表現する必要はないように感じます。けれど、さかなクンはそんな妥協を許さなかったのです。さかなクンの大学の名誉博士の片鱗を見た気がしました。そして、ここまでやるのかという姿勢に感動しました。
プールに放流したニジマス釣りが楽しそう
ステージの後、大学内を散策します。こちらは鯨の標本か展示されています。
こちらは昔使われていた実習船です。普段は非公開です。
こちらはではプールに放流したニジマスを釣ることができます。地味だけど非常に楽しそうでした。