熊本市慈恵病院訪問記―こうのとりのゆりかご見学―

こうのとりのゆりかごとは何か

こんにちは。管理人のエスポワールです。今回は熊本市の慈恵病院のこうのとりのゆりかごを紹介します。

「こうのとりのゆりかご」とは通称「赤ちゃんポスト」です。赤ちゃんポストとはさまざまな理由で育てられない赤ん坊を親が置いていく施設や仕組みの総称になります。

そんな赤ちゃんポストが日本で唯一、熊本県の熊本市慈恵病院にあります。

赤ちゃんポストの機能や役割

赤ちゃんポストの利用により、施設の前に「捨て子」のような状態で放置されるよりも赤ん坊が安全な状態で保護されます。

赤ちゃんポストには両親が置いていった赤ん坊であれ、「人命第一」、つまり、命を守る機能があります。そして、この施設は経済的に育児が困難なことを理由に両親が子供を死亡させるような事案を予防しているという役割もあります。当然、施設を利用しても両親は罪に問われることもなく、プライバシーが保護されています。

ただ、ハガキをポストに投函するかのような軽いイメージを「赤ちゃんポスト」という名前から連想されてしまうことも多く、熊本市慈恵病院では「赤ちゃんポスト」ではなく、「こうのとりのゆりかご」という名称で名前を統一していますが、一般的にその名称は浸透していません。ここでも「赤ちゃんポスト」と名称を統一しています。

さらに「子供を捨てるな」、「安易に子供を産むな」と言った、死生観・倫理観などの観点から、施設の運用には非常にネガティブな意見とともにあるというのが現状です。赤ちゃんポストの運用開始が2007年なので、様々な課題を抱えながらもその運用は軌道に乗っているように思われます。

しかし、熊本市慈恵病院に次ぐ第2号が出てこない点において赤ちゃんポストの運用の難しさを感じます。

熊本市慈恵病院へ向かう

熊本市慈恵病院は熊本駅から40分ほど歩きます。歩けない距離ではないのですが、歩いて来院することを想定していない場所に位置しています。

最近の産婦人科では珍しくないのですが、高級レストランのような外装で、周辺の住宅地と比べて少し浮いています。

こうのとりのゆりかごはこの建物に併設されているのですが、正面口に堂々と設置されてはいません。

こちらがこうのとりのゆりかごへ続く通用口です。人の出入りが目立たないような場所にあります。植栽により、通路を歩く姿も外から見えないようになっています。

こちらが通路の奥。赤ん坊を預ける前に相談できる連作先の記載があります。

親切な職員さんに撮影の許可をいただく

ここで写真を撮影していたら職員の方に声を掛けらました。男性の立ち入りということで不審に思われたようです。
見学の旨を説明し、写真撮影に関しても快諾していただきました。

この扉の向こうに赤ん坊を預ける保育器があります。親子にとって最後のお別れになる可能性もある場所なのだけれど、全体のトーンは柔らかくて明るい感じです。

こちらが扉の内側からの写真です。多くの赤ん坊の命と両親の無念や後悔を受け止めてきた保育器になります。

そして、両親に宛てた手紙も添えてあります。この手紙には気持ちが変わった場合の連絡先が記載されてあります。扉が開放されて、赤ん坊が保育器に置かれると同時に院内のスタッフに連絡が入る仕組みです。

また、この施設の利用者は月におよそ1回。さらに、事後的に判明しているデータによれば、県外からの利用者が多いとのこと。

医療関係者でもなく、単なる興味本位で来た自分にも親切に対応していただいたスタッフさんに感謝します。

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