トヨタ博物館とは
こんにちは。管理人のエスポワールです。今回は愛知県長久手市にあるトヨタ博物館を紹介します。
トヨタ博物館はトヨタ自動車が運営する私設博物館で「世界のクルマの進化と文化をたどる博物館」をテーマにしています。
まず、率直な感想ですが、最高です。特にクルマ館では自動車の進化と普及の歴史を名車を鑑賞しながら学ぶことができます。 入場料の1200円が安すすぎます。
ただ、自動車に興味がない人には「この車両の何がすごいか」「自動車全体の進化になぜこの車が寄与したのか」が分かりずらいようにも感じます。理由は、展示している自動車が多すぎる為です。
今回は以下の展示ブースごとに1-2台ほどピックアップして内容を簡単にまとめていきたいと思います。
- 自動車の夜明け【黎明期】1890-1910s
- 自動車の急速な進化1910s
- 自動車の大衆化1910-1930s
- 覇を競った豪華車1920-1930s
- レーシングカー、スポーツカーの進化1900-1930s
- 流線形時代の到来1930s
- さまざまな自動車文化の競演1930-1940s
- 第2次大戦後の新たな始動1930-1950s
- 米欧日それぞれの再出発1950s
- 経済成長と加速するモータリゼーション1960s
- 試練の時代 社会的課題への対応1970s
- 新たな車種の誕生1980s
- 持続可能な未来へ20xxs
自動車の夜明け【黎明期】1890-1910s
最初の自動車の展示は「自動車の動力源」をテーマに始まります。
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こちらは蒸気自動車です。自動車の動力源として最初に作られたのは蒸気によるものでした。もちろん、蒸気機関車の技術を自動車に応用させたものだと考えられます。
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こちらは電気自動車です。こちらも蒸気と同様に、電気機関車、つまり電車の技術を自動車に応用させたと考えられます。
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こちらが1886年にドイツで誕生したガソリン自動車第一号です。発想のルーツは「馬車に代わる操縦性に優れた乗り物をつくりたい」というものでした。ガソリン車は最後発ながら性能向上により自動車の動力源としての地位を盤石にしました。
自動車の急速な進化1910s
1910年代に入り、ガソリン車は大きな進化を遂げます。展示されている車両から明らかな点は、車両前面のラジエーター(放熱装置)部分です。つまり、エンジンをどのように冷やすかという技術が盛り込まれている点です。
ガソリン車はエンジン内部でガソリンと空気の爆発・燃焼反応により車を動かすエネルギーを生み出しています。その燃焼中の空気とガソリンの混ざった気体の周辺は非常に高温になり(現在では800℃くらい)、部品を構成する金属が高温に耐えられないのです。
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そこで登場したのが自動車の前面に置くことによって走行風を利用するラジエーターが登場したのがこの頃です。ラジエーターの具体的な仕組み・説明はここでは省略します。
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ガソリン車はエンジンの冷却問題をとりあえず解決し、外観が馬車のような形状から離れていきました。
自動車の大衆化1910-1930s
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こちらの車両はT型フォードです。非常に高価だった自動車の大衆化に貢献したT型フォードは自動車業界だけでなく、人類の生活様式を変える1台となり、歴史の教科書にもすでに掲載されています。
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T型フォードは流れ作業による量産化により生産コストの削減に成功しました。発売当時880ドルだった車両価格がモデル末期には260ドルまで下がり、18年間で1500万台以上の売り上げとなりました。
展示されている車両の中で最も偉大な1台ではないでしょうか。
覇を競った豪華車1920-1930s
大衆化が進むだけでなく、高性能車両も製造されました。展示ブースで存在感の際立つ2台を紹介します。
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こちらはイギリス王室に愛用された、イギリス最古の自動車メーカーのデイムラー社の車両です。
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こちらが当時から王侯貴族や大統領の専用車として利用されていたキャデラック社の車両。水色のボディーカラーが目立ちます。
その頃、日本には豪華車を製造する技術が日本のメーカーにはありませんでした。
レーシングカー、スポーツカーの進化1900-1930s
一般車両や高級車両だけでなく、レースに特化した特殊車両も紹介されています。
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こちらが世界最初の本格的スポーツカーといわれているスペイン、イスパノスイザ社の車両です。スペイン国王の名前が付けられたこちらの車両は展示車両の中でたった1台のスペイン製の車両です。
自動車会社にとってレースに勝つことは自社車両の技術アピール、広告として大きな影響力を持つことになりました。
流線形時代の到来1930s
自動車の構造の変化と空力技術と導入により、自動車の外観が流線形となっていきます。
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こちらは流線形になる前の1932年に製造された日産自動車の前身であるダットサン社による車両です。
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こちらは「デザインやエンジン配置、ボディ構造が進歩的過ぎたために販売面では失敗したが、他メーカーに大きな影響を与えた」とされるデソート社の車両です。
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続いて1936年にトヨタ自動車の創業者である豊田(とよだ)喜一郎がアメリカ車を手本に開発した、初のトヨタ車両です。
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政府による国産自動車メーカー育成がこの頃から始まります。
さまざまな自動車文化の競演1930-1940s
このあたりからクルマ館の展示も中盤戦になります。じっくり鑑賞してきた人にとってはそろそろお腹一杯感がでてくるのですが、ここからさらに大味で豪華絢爛な外車が続きます。
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こちらがロールスロイス社の最高級車両です。前述のデイムラー社に続きイギリス王室御用達ブランドです。
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こちらがベンツ社の車両です。クラシックカーオークションではこの時期の高級車は1億から2億の値段が付きます。
第2次大戦後の新たな始動1930-1950s
第二次大戦後の驚異的な経済成長によりアメリカは世界で最も豊かな国となります。国民総生産も1940年には2000億ドルだったものが1950年には3000億ドル、1960年には5000億ドルと超えて、自動車製造も勢いが増します。国民の所得の向上が自動車の普及に大きく貢献しています。
この時期のアメリカで製造された2台の車両を紹介します。
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この時期に初めてフロントガラスに曲面ガラス使用した車両が登場します。デザインも現代的になってきています。
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ゼネラルモーターズ社のコルベット初期ブランドです。初めて量産化されたスポーツカーです。
米欧日それぞれの再出発1950s
当時は自動車が速くて丈夫で快適になっていくにつれて車体のサイズが大きくなっていきました。しかし、この頃からコンパクトな欧州車がアメリカでも成功します。
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こちらの車両はタイプ1という名前以上に「ビートル」の愛称が一般的です。ビートルシリーズは2003年まで製造され、2150万台の累計生産台数は歴代最多です。
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こちらが3点式シートベルトの特許を無償で公開して世界中に普及させたボルボ社の車両です。尚、ボルボ社はスウェーデンの自動車メーカーです。
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1955年、日本ではトヨタ社が純国産方式としてトヨペットクラウンRS型を発表します。
外観も性能も欧米車に追いついた感じがしてきました。
経済成長と加速するモータリゼーション1960s
日本人の生活水準が向上して自動車が普及したのがこの頃です。1966年に登場した2台の車両を紹介します。
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1台目はトヨタ社カローラ。1969年から2001年まで国内33年連続車名別販売台数トップとなります。
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こちらはダットサン社サニー。トヨタのカローラと共に国産大衆車の双璧ともいえる車両です。熾烈な販売台数争いの最盛期には「CS戦争」ともいわれました。デザインも非常に似ています。
試練の時代 社会的課題への対応1970s
70年代になると大衆車にスピードや快適さだけでなく、安全性や環境対策にも配慮する車両の開発が進みました。
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日本で実施した排ガス規制を初めてクリアした車両がこちらのホンダ社のシビックです。
先述のカローラやサニーとともに昔の映画やドラマなどで見かけるような車両が登場してきました。
新たな車種の誕生1980s
80年代になると大衆車の販売台数が増え続け、この頃からセダンタイプ以外の車両も登場します。
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レジャーを目的としたSUVやワンボックスカーがこの頃に登場します。
そして、国内の新車販売台数は1990年にピークを迎えます(770万台)。尚、現在(2020年)はおよそ500万台。
持続可能な未来へ20xxs
現在、二酸化炭素の排出量を半減させたハイブリッド車の登場から、さらに電気自動車や燃料電池車の技術開発が進んでいます。
20世紀に自動車の動力源として蒸気と電気とガソリンが検討され、その結果ガソリンが主流となりました。その自動車の動力源としてのガソリンからの脱却が今後のテーマとなっています。
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こちらが電気とガソリンを併用した世界初の量産車である初代プリウス。
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こちらが世界初の水素燃料電池車のミライ。二酸化炭素の排出量はゼロ、水素燃料によるフル充電で約650kmの走行が可能です。
130年前にタイムスリップして現代に戻ってくる感覚
トヨタ博物館クルマ館では自動車の歴史を展示車両とともに学ぶことができます。
自動車の歴史は長いと言っても120-130年程です。展示ブースの序盤はモノクロの写真や映画で撮影されていたころの欧米の街を走る自動車が展示されています。そして、展示車両を見学しながら130年前から少しづつ現代に戻ってくるようような感覚がこの博物館の魅力です。
そして、20世紀の製造業の主役が自動車であったことがよくわかる博物館です。