日本のカツはヨーロッパのシュニッツエルに由来
こんにちは。管理人のエスポワールです。今回は福井のローカルフードであるソースカツ丼についてまとめました。
こちらの写真はオーストリアの名物料理、シュニッツェルです。シュニッツェルは薄く切った肉にパン粉を付けて焼いたものです。肉が薄く、衣をサクサク・パリパリと味わいます。
写真は今からおよそ7年ほど前、ウィーンを旅行した際に撮影したものです。ウィーンではシュニッツェル専門の屋台があるのですが、どこの屋台でも作り方や味は大きく変わらないような気がしました。シュニッツェルにケチャップを付けて食べるのが現地の食べ方で、日本人の口に合うファストフードだと感じました。
そんなシュニッツェルが日本のカツの源流に相当することは当時は知りませんでした。
福井のカツ丼は卵でとじない
ところで、カツ丼のカツと言えばカツを卵でとじたものをさしますが、このような認識は実は日本全国で共通ではありません。例えば、福井県ではウスターソースをかけたカツがご飯の上に乗るのが一般的なカツ丼です。その他、名古屋地方のみそ味、沖縄地方のあんかけ味などがあります。
こちらは福井県福井市に店舗を構える、ヨーロッパ軒総本店とソースカツ丼です。
写真の通り、ウスターソースをくぐらせたカツが白いご飯の上にのっています。ご飯とカツの間にキャベツは挟まっていません。ただ、注目すべきはカツの薄さで、前述のオーストリアで撮影したシュニッツエルを彷彿させます。カツの厚さが厚ければジューシーに仕上がりますが、それはカツの原点ではありません。彩りに乏しいビジュアルからも歴史を感じるメニューです。
ヨーロッパ軒は1912年に創業者の高畠増太郎氏がドイツでの料理留学を終えて帰国した翌年に東京の早稲田鶴巻町で創業しました。「ヨーロッパ軒」という名前は店主の高畠氏がヨーロッパで料理を勉強したことに由来しています。
その後、関東大震災の影響によりヨーロッパ軒は1923年に東京から撤退するのですが、故郷の福井に戻ってオープンさせた店がこちらの店舗です。現在、ヨーロッパ軒はのれん分けを含めて福井県を中心に19店舗で営業しています。ソースカツ丼は東京で生まれ、福井で広まったといえます。
早稲田鶴巻町にソースカツ丼が復活した
そして2016年5月、93年の月日を経て早稲田鶴巻町にソースカツ丼が帰ってきました。福井県出身のオーナーによるソースカツ丼専門店、「奏す庵」が開店したのです。店内はカツを揚げる様子をカウンター席から見ることができるようになっており、寿司屋のようです。
こちらが奏す庵で提供される「ワセカツ丼」です。カツの薄さは本場を継承したもので、食前に梅干しが提供されました。別皿のマスタード入りのオリジナルソースがカツに合います。当然、カツとご飯の間にキャベツはありません。デザートの一口サイズのパイナップルも存在感があります。
卵とじカツ丼が主流の東京において、約1世紀のブランクを経て復活したソースカツ丼にひそかに注目しています。